2021/05/06 歌謡曲が好き フィロソフィーのダンス 2000年代歌謡曲

今年こそお勧めのフィロソフィーのダンスを再度ご紹介+ちょっと印税の話



わかっているんです。当サイトは「歌謡曲が好き」ですから1970年代から1990年代くらいの昔の曲を探しに来てる人が多いの。で、当サイト、たまに最近の方のを書いちゃうのは悪いところなんですが、まぁ、個人的に気に入ってるんでね。

フィロソフィーのダンスは以前も当サイトで取り上げているのですが、それから3年以上経ちました。彼女たちはどうなったかということで。よろしければ過去の記事も読んでいただければ。

2018/01/15
今年おすすめの「フィロソフィーのダンス」をご紹介
https://www.thursdayonion.jp/article.php?article=964


また、昨年もちょっと取り上げています。

2020/05/05
昔のアイドルは素晴らしく、今のアイドルはダメ?それは本当なのか?
https://www.thursdayonion.jp/article.php?article=1250


で、フィロソフィーのダンスはどうなったのか?といいますとメンバーそのままに2020年9月にメジャーデビューいたしました。


そして、先日メジャー2枚目のシングル「カップラーメン・プログラム」をリリースしています。

カップラーメン・プログラム
フィロソフィーのダンス
2021/2/12


メジャーデビューにあたって、それまで主に楽曲を提供していたヤマモトショウ氏、宮野弦士氏が楽曲提供を終えるという形を取りました。

ヤマモトショウ 2020/06/30 19:58
フィロソフィーのダンスについて
https://yamamotosho.com/n/n23a44e4cd65e


宮野弦士のいまさらするまでもない音楽の話 2020-06-01
ご報告
https://gentomiyano.hatenablog.com/entry/2020/06/01/180000


このことについて、外部の私がとやかく言えることではありませんが、5年間一つのアイドルグループにかかわり、彼女たちを成長させていった、そしてほぼ類するものを見ないアイドル像を作り上げていただいたことは感謝しかありません。そして、逆を言えば方向性としては私は非常に好みである楽曲であっても、メジャーとなると相手にする層が変わり、もう少し広い視聴者に受けるものを作る必要がある以上、新しい作家陣が入ることは必要で、本人も言うように、「どこか納得いかないところが出てくる」というのは実態に音楽に関係ない仕事をしていてもわかるなぁと思うところでもあります。

本件と関連があるかどうかはさておき、気になる項目がありました

ヤマモトショウ 2020/09/11 21:03
印税未払い問題と印税システムに関して
https://yamamotosho.com/n/n264716ab255a
>事の発端としてはフィロソフィーのダンスというグループの発売されている音源からの印税の支払いが明確におかしい、ということに一年と少し前に気づいたことでした。

実際に、リリースしたほとんどの作品で未払いが発生していました。

(変な邪推をされたくないので一応明記しておきますが、この件と僕がフィロソフィーのダンスの制作から離れた件は直接は関係ありません)

>これは例ですが、だいたいこんな感じです。
一枚3000円のCDに対して、著作権使用料(つまり販売元がJASRACに払うもの)は6%の180円です(正確には出荷控除などがあります)。このうちJASRACの手数料はありますが、概ね25%が作曲家に入ると考えられるので、45円ですね。ちょっとややこしいので少なめにみつもって40円としておきます。本当は控除などでさらに少なくなるかもしれません。
これが3万枚うれてたら、3万×40で120万円がCDから作曲家がえる印税になります。まあ契約にも色々あるので、たとえば3万枚うれてたとしても100万円くらいかもしれないし、150万円くらいになるかもしれません。それに配信やカラオケなどもあるので、もっと多い場合もあります。
しかしだいたいこのくらい売れてるな、というところで支払額が1万円とか2万円とかということはちょっと考えられません。


もちろんご本人のサイトを見に行くことの方がいいと思いますが、JASRACなど音楽著作権管理団体から各アーティスト(もちろん作家陣も含め)へのお金の流れというのは、音楽を利用する側にはなかなかわからない部分でありますし、多分そこに興味を持つ方は少ないものと思います。そのなかで、なるほどこのような仕組みになっているのかと、あらためて理解できた部分は大きいです。

これは当サイトでたまに書いている、過去の楽曲を配信する、再発売することにも大きくかかわってくることでしょう。もちろん歌唱者、作家、販社、レコード会社など出版社すべてに恩恵が無ければそれは難しいのです。

この印税未払い問題は特段大きな形でニュースになったりしたものではありませんが、関わったのが北海道内企業であったりしますし、本当にここだけの問題なのか、また、オリコンなどで発売枚数の概算が出ているにもかかわらず、JASRACも過小の申告を真に受けて、それが正確に加盟されている作家に支払われていないことが作家本人からの指摘まで分からないというシステムにも問題がありそうにも思います。(これ、発売元にとっては脱税など別な問題があることも考えられてしまう大問題だと私は思うのですが)
そして、なにより応援している、自身もCDや配信で少なからず購入しているものが、その楽曲を提供している人にも(当然歌唱しているメンバーにも)正確に支払われず杜撰に処理されていたというのがものすごく悲しいことだったりもします。


さておき、こういう紆余曲折あって、昨年メジャーデビューを果たしたフィロソフィーのダンス。ファーストシングルの楽曲ですが、さすがにメジャーともなるとPVにも楽曲にも「金かかってるなぁ」感が出てきます。
1.ドント・ストップ・ザ・ダンス
作詞:前山田健一
作曲:mrmr
編曲:佐々木聡作・mrmr

ヒャダインさんです。テレビ番組でフィロソフィーのダンスを高く評価されていたヒャダインさんが作詞。これはももいろクローバーZの初期曲などにもみられますが、それぞれのメンバーパーソナリティを踏まえて、合った歌詞をあてはめる感があって、ファンには納得感、そして初めて聞く人にもお披露目感があるなと思います。そして、フィロソフィーのダンスを「長く活動し続けられるグループ」にすることを考えているんだろうなとも思います。今、女性のグループがなかなか「アイドル」以外の形で世に出るのが難しい中で、「アイドル」にとらわれない楽曲を歌ってきた彼女たちだからこそできる形を模索した歌詞に思います。そして、各パートが正しく個性を出しているという意味でもデビュー曲に相応しいと思います。作曲・編曲のmrmrさんは私の知る限り他の方に書いていないと思いますが、誰かの変名なのでしょうか。

2.なんで?
作詞:児玉雨子
作曲:hisakuni
編曲:hisakuni

児玉雨子さんはハロープロジェクト系アイドル楽曲の作詞としておなじみの方であります。未練たっぷりな女性の感情を感じられる詞がよく曲にマッチしていて、夜の海感(シニフィアンとか水族館とかってワードがそうさせる?)がとてもあります。hisakuni氏はアニメ系の曲のイメージですが、全く違うこんな感じの曲を作編曲するのがやっぱりすごい。

3.オプティミスティック・ラブ
作詞:shytoshinya
作曲:shytoshinya
編曲:shytoshinya・Gakushi

オプティミスティック・ラブ
フィロソフィーのダンス
2020/9/23




個人的に好きなアーティストでありますONIGAWARAの斉藤伸也さんの作詞作曲。この楽しくなっちゃう感じがONIGAWARA調で素敵です。外部に書かれたのはあまり多くないと思いますので、今後もフィロソフィーのダンスにかかわるなら楽しい曲が出てきそうで期待です。なにしろ「全方位楽観的」なんですから。この詞もやっぱり長く生き残ってやるぞを感じるんですよね。いい。

4.ドント・ストップ・ザ・ダンス with DEZOLVE
演奏者:DEZOLVE
作詞:前山田健一
作曲:mrmr
編曲:友田ジュン

最初に聞いたとき吹っ飛びそうになりました。ドント・ストップ・ザ・ダンスの別アレンジ、しかもテクニカル・フュージョン・バンドと自称されているDEZOLVEさん。懐かしくもあり、ものすごく新しいのは、彼らを検索してyoutubeなり見ていただきますとよくわかると思いますが、ほんとうにすげぇって思っちゃう。そして、この演奏に負けない楽曲と歌唱。正直誰でもこういう感じで歌えないと思います。80年代のフュージョンで育った私としましては大好物なアレンジです。

オリコン最高2位は立派で、これはものすごくセールスに力を注いだ結果とは思いますが、多分(もちろん売れるのはいいことだが)運営的には今後も細く長く一発で終わらないような形をこのグループにはしていこうという意識を感じます。9月に1枚目、そしてそれから半年以上たった2021年4月に2枚目を出すというのは、世間認知的には「忘れて」しまってもおかしくない。しかも2枚目ですから、大きく取り上げる可能性はあまり多くない。そんななかですから、多分リリースの「枚数」があまり多くなく、順位が上がらないことも意識しているように思います。

1.カップラーメン・プログラム
作詞:児玉雨子
作曲:JOE CHEN ・ Mike Macdermid ・ T.L.S
編曲:JOE CHEN ・ Mike Macdermid ・ T.L.S

まず、タイトルからして、売れる要素が無い(笑)そして、このタイトルから中身を見るから、えっ?ってなるんですね。私の本業の方でスパゲティ・プログラムな、こんがらがって、どう動いているのか、不具合が出た時何を直すのか全く理解できないプログラムを目にするわけですが、それを「思考」としてカップラーメンとなぞるというのは正直驚き。そして前作でもご登場の児玉雨子さんです。PV見てても前半と後半ががらっとかわる前向きな感じは凄いなと思いますし、アイドルのPVにあるまじきマリリさんのお部屋には男がいる(!)ってのも含めて、もうアイドルの枠ではやっていかない感もあるのかもしれません。前作も含めて鼓舞される方は多いのではないかと思います。作曲のお三方はヨーロッパ在住の新進気鋭の作曲家とのことです。

2.フォーカス
作詞:YUUKI
作曲:h-wonder
編曲:h-wonder

フォーカス
フィロソフィーのダンス
2021/4/28



ユウキさんはCHAIのベースの方、CHAIの多くの楽曲の作詞をされていますね。これ、ど頭「私自由になるわ!」ってのがすごいよ。先日の配信ライブで聞いて鳥肌立ちましたし、振りも面白くって、これはライブで映えそうな楽曲です。h-wonderさんはEXILEとかジャニーズ系にも書かれてる方ですよね。すごい人に作ってもらえるようになったのはメジャーの意味を感じます。

3.テレフォニズム
作詞:SHOW
作曲:SHOW
編曲:SHOW

テレフォニズム
フィロソフィーのダンス
2021/4/28




いやぁ、この曲にはやられました。80年代終わり的シティポップをさらに新しくした感があって、気に入っちゃっております。今時「電話」をするかどうか?という楽曲が出てくるなんて思わないでしょ。おじさんおばさんの過去の苦い、ああ、あのとき電話しておけばなぁってのを呼び出されて、少し心が痛くなってきたりもします。

4.CAT'S EYE
作詞:みうらよしこ
作曲:小田裕一郎
編曲:Gakushi
あのキャッツアイです。これも含めてオッサンホイホイな感じは致しますが、やっぱりこの曲格好いいなぁと改めて感じました。まだ配信も含めてライブで披露していないと思いますが、どのような形で今風にしてるのか気になる楽曲ではあります。

CAT’S EYE
フィロソフィーのダンス
2021/4/28



(このエクササイズ映像も80年代風でいいですねぇ)

このメジャーデビュー後6曲を聞いてきて、感じるのは、これからの女性の生き方に寄り添い鼓舞する形を見せているようにも見えます。ファン層を握手会などで接触するオッサンから変えていこうという気概も感じますし、現在の事象からそれも難しい。そしてファン層を広げる方法も模索しているような気がいたします。

なので、きっと古参のファンには物足りなかったり、コレジャナイ感が当然あるのだと思います。しかし、物事は変わっていく、そして、自分も年を取り、彼女たちも年齢を重ねる。そんななか、どのような形であれ長く続けていくためにどうすればいいのか?という模索の一つと思うと、5年を経て「今までと同じ」ではダメだとも思います。

去年からいくつものアイドルグループが活動をやめざるをえなかったり、方向性を変えなければならなくなっています。同じメンバーで長く続ける。若い子が入ってくる形は望まないなら、メンバー以外の所を変えていくしかありません。

5月1日に配信された有料ライブ配信「Cup Ramen Night」約1時間のなかで、本当に彼女たちの成長がみられて、とかく生に近い状況の配信であれほどに安定したライブを見せられるのは本当に驚きです。また、5月2日にCSで生放送された六本木アイドルフェスティバルのラストアイドルとの対バン。ラストアイドルの「青春シンフォニー」を楽曲交換で歌う様もしっかりしていて、生でこれはすごいと個人的にはかなり高評価。(ラストアイドルさんの選抜4人によるバッド・パラダイムもよかったので、今は本当に歌下手アイドルが生き残れない時代を実感します)

しかしまぁ、歌謡曲が好きの記事に今のアイドルを1万2000字も書いた私はダメダメだわ。反省。

ドント・ストップ・ザ・ダンス
フィロソフィーのダンス
2020/9/11

新:楽曲から「春」を感じてみたい
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