2021/10/18 歌謡曲が好き ラジオが好き Spotify 音楽配信

SpotifyのDailyPicksは「新時代のラジオ」になるか?


目次
  1. Daily Picksを使ってみる
    1. オープニングトーク
    2. NHKのラジオニュース
    3. ヤング日経(サクッとわかる経済ニュース)
    4. bytes by Off Topic 超最新ITビジネスニュース
    5. 朝日新聞 ニュースの現場から
  2. Daily Picksはラジオを駆逐するか
  3. 巻き返すラジオ番組
    1. 追記

サブスクリプション音楽サービスSpotifyは10月6日から新サービス「Daily Picks」をスタートしました。
「音楽とニュース系ポッドキャスト番組の最新エピソードを、リスナーのお気に入りの好みや聴取行動を反映して自動生成」というコンセプトで、これは極端に言えば「ニュースと天気と道路情報♪」(当地のAMラジオ局がこのフレーズをよく使っている)ってラジオのコンセプトに近いものを感じます。

Spotify、お気に入りの音楽と今日聴くべきニュースを毎日お届けする、あなただけのプレイリスト「Daily Picks」を提供開始
スポティファイジャパン株式会社 2021年10月6日(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000022249.html


Daily Picksを使ってみる


スマートフォンでもPCでも、Spotifyのホーム画面を開くと

このアイコンがあるはずです。

当サイトの管理者のDaily Picksを開いてみます(リンクしてみましたが、これ、各自の自分のDaily Picksが開いてくると思いますので、今朝当サイト管理者のPCで表示した画面を添付します)

オープニングトーク

坂上みきさんのオープニングトークって時点で「ラジオ感」がありますね。このオープニングトークは月替わりとのことで11月はクリス・ペプラー氏、12月は小林克也氏が登場することになっています。

NHKのラジオニュース

そしてNHKのラジオニュースです。時間帯によって10分や20分の長いバージョンと短い5分バージョンがあり、再生した時点での最新のニュースが流れるようになっています。Spotifyでは以前からポッドキャストでNHKニュースを配信していましたが、これを最大限に生かしたサービスといえましょう。

余談ですが、NHKの定時ラジオニュースはアナウンサーが原稿を読むだけのスタイル(ストレートニュース)ですので、そこにアナウンサーの主観は一切入りません。朝に情報を仕入れるときテレビのニュースのようなコメンテータや司会者が自らの意見を表に出すことがないのはとても大事なことです。これはラジオニュースであっても朝のワイド番組に内包して司会者がニュースに対するコメントや自分の考えを入れるのは正直無駄です。今起きてることをとりあえず知りたいだけで、それに対する感想は「自ら」が考えるわけで、あなたの意見は必要としていないし、それが必要ならそのような番組を見ればいいのです。

NHKの定時ラジオニュースはプロのアナウンサーが、簡潔な原稿で短い時間で大きなニュースはわかるというのは素晴らしいのですが、誰しもがその時間にラジオの前で、しかもNHKラジオを聞くというのはすごく難しいことです。ポッドキャストになっていても、それを自分が聞きたい曲の前に「選択する」のは難しいことだと思います。

ここまでがDaily Picksでは全員共通の内容と思います。そして、ここからがDaily Picksの真骨頂です。自分がフォローしているアーティストから選択した曲が流れます。ここでの選曲は特段朝用夜用となっているわけではないようで、この曲朝から?みたいなのも流れないでもありませんし、あくまでDailyですので、選曲された曲自体は何度聞いても変わることはありません。そして翌日新たな選曲がされますが、NHKニュースはその時点の最新のものが配信されます。

ちなみに最近よく聞いてたScoobie Doさんが多めに選曲されていますので、そういうロジックも効いてるのかもしれません。

ヤング日経(サクッとわかる経済ニュース)

3曲ほど流れた後に出てくるのが、ワタシの場合ヤング日経というベタなポッドキャスト。一応サクッとわかるビジネスニュースとしています。10分ほどの番組になりますが、この番組はあくまで司会がいて、感想を言う場合もあるようなものですし、コーナーとして旅行などの話題も扱いますので向き不向きはあるかもしれません。
なお、ポッドキャストは選曲ボタンで飛ばすことはできません。聞きたくない場合はスライダーで早送りするしかないようです。

その後数曲やはり挟んで

bytes by Off Topic 超最新ITビジネスニュース

こちらはIT関連のビジネスニュースで10分以内にまとまっています。

朝日新聞 ニュースの現場から

これは今日に関しては30分もあり、中身もいろんな意味で「朝日新聞らしい」感じですので、個人的にはパス。

今朝の私用のDaily Picksはポッドキャストは4番組でした。その後は「私向け」の選曲が続きます。多くの方は通勤時間1時間以内でしょうから、通勤時間内で軽く世界情勢や興味のある情報を聞き、さらに曲は基本的に自分の好きな曲しか流れないというのは、ものすごくシンプルですが心地いいです。

Daily Picksはラジオを駆逐するか


ここまで聞いて足りない情報は天気予報です。今のところ天気予報を流すポッドキャストが無いこと、特に地方ニュースはそれが難しいことがあげられます。しかし、Spotifyのポッドキャストには
・辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!(ニッポン放送)
・TBSラジオ「荻上チキ・Session」(TBSラジオ)
などの既存ラジオ番組のポッドキャストもありますので、将来的には地方ラジオ局の「ニュースと天気と道路情報」が聞ける時代もやってくるのかもしれません。

コロナ禍での外出自粛、出勤者の減少も民放ラジオ局の経営の根幹であるCM収入の減少という形で、特に地方ラジオ局が今後維持していけるのか?という問題はありそうです。昨年新潟県のFM PORTが閉局したのも記憶に新しいところです。

また、「個」が尊重される中で「みんなが聞きたい曲」と「自分が聞きたい曲」が乖離しており、また、コンプライアンス上ラジオをながら聞きできるような職場環境も少なくなっているという面もあります。昼間のワイド番組で番組を聴いている職場訪問で云々といったコーナーが本当に無くなっている現状があります。

そして、CM出稿が減ったラジオ局はラジオショッピングによる補いをおこないますが、5分も10分も(場合によってはそれだけで番組になってる)商品の紹介に費やすラジオを聞きたいか?といわれると、私もそれは疑問です。

そして離れていったリスナーは有償であってもサブスクリプションサービスで「好きな曲だけ」聞けるという体験をしてしまうと、ラジオの存在価値って?ってことになりかねません。

今すぐDaily Picksがラジオを駆逐するとは思えませんが、ラジオという媒体が「支持されなくなって」いることに危機感を感じます。現に当地のFMノースウエーブは金曜日のワイド番組制作を中止、今やJ-Waveの「START LINE」が首都圏の交通情報そのままに北海道で流れているという事態です。極端にはDJ1名、数名の裏方氏すら出せない状況になっているということです。北海道のリスナーは首都圏情報を垂れ流す番組を聴いて何を思うかです。


巻き返すラジオ番組


しかし、ラジオだからできる番組というのもあります。深夜のトーク番組も、昼間のワイド番組も、聞き出せば新たな発見があります。そして、radikoプレミアムを使用すれば全国どこの地域のラジオ番組も聞ける上に、リアルタイムで無くても1週間まで過去の番組を聴くことができます。つまりお金を払ってでも「ラジオを聞く人」の争奪戦が始まっている。

しかし、そのradikoプレミアムもその費用が番組制作費として還元されているわけではなく、あくまで配信するための設備などの維持費用と思われますし、我が家がそうですがIPアドレスの関係で無課金では地元のラジオを聴けず、首都圏のラジオを聞く状態になっているという技術的な課題もあります。海外からは聞けないというのも、本来でいえば日本の文化発信の側面としても日本のラジオが世界どこからでも聴けるという環境を構築できることを願うところです。

また、知らない曲との出会いはまだまだラジオが優れているのは、Spotifyなどのおすすめは過去に聞いた曲からの同じようなタイプの曲のおすすめですので、気に入る可能性は高いけど、実はそれ以外の意外な曲から興味を覚えることがあります。

個人的に在宅勤務で自宅にいるときによく聞くのが

NORTH WAVE CALLIN’
https://www.fmnorth.co.jp/callin/
TRANSIT NIGHT
https://www.fmnorth.co.jp/transitnight/

DJやナビゲータを置かないノンストップの音楽プログラムです。特に土曜日の3時間バージョンのNORTH WAVE CALLIN’は好きですね。選曲も好みです。
CMレスですし、全く商売にならない番組とは思いますが、FM局は選曲で勝負してほしいところがあります。

「ながら聞き」ができるのがラジオの素晴らしい面です。そこに割って入った配信サービスの「ラジオ化」目で見なければならないテレビVS配信サービスの戦いが続く中、ラジオがいつまでも聞けるのか?


追記

Spotifyのポッドキャストの「最新」をプレイリストに追加する仕掛けがあれば、自身の好きな曲で朝起きて、ニュース聞いて、ラジオ体操してみたいな「毎朝プレイリスト」が作れるんじゃないの?と思ったんだけど、ポッドキャストの最新を再生するというプレイリストは作れないっぽい。

かといってDailyPicksに必ずラジオ体操再生みたいなこともできないようなので、すごく残念ではある。なかなか「自分好み」とまではいかないようだ。

新:楽曲から「春」を感じてみたい
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