2022/04/05
歌謡曲が好き
ザ・ベストテン
80年代歌謡曲
西城秀樹
楽曲紹介
ザ・ベストテンで最高得点を獲得した西城秀樹「YOUNG MAN」
目次
西城秀樹さんの28枚目のシングル
ヴィレッジ・ピープル「Y.M.C.A.」
YOUNG MAN (Y.M.C.A.)の歌詞
YOUNG MAN (Y.M.C.A.)の記録
ザ・ベストテンの9999点は何が凄いのか?
レコード売上ランキング
有線放送ランキング
ラジオランキング
はがきリクエスト
若者!若者は貪欲に欲しいものを言った方がいい
4月になると、そう、西城秀樹さんの「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」を思い出すのです。1978年の1月に始まったザ・ベストテンの放送開始1年後という黎明期にこの最高点数が出てしまった。そして、番組が終了するまで、誰もその得点を出すことができなかった。それが「伝説」なのです。
西城秀樹さんの28枚目のシングル
まず、データを見てみましょう。「YOUNG MAN」は1979年2月21日に発売された西城秀樹さんの28枚目のシングル曲になります。
「YOUNG MAN」西城秀樹
発売日:1979年2月21日
オリコン最高位:1位
オリコン年間チャート:1979年 7位
ザ・ベストテン最高位:1位
ザ・ベストテン年間チャート:1979年 7位
売上枚数:80.8万枚
レーベル:RVC
レコード番号:RVS-1172
A面:YOUNG MAN (Y.M.C.A.)
作詞:J.MORALI・V.WILLIS・H.BELOLO・あまがいりゅうじ
作曲:J.MORALI・V.WILLIS・H.BELOLO
編曲:大谷和夫
歌唱:西城秀樹
B面:HIDEKI DISCO SPECIAL
作詞:※メドレーのため未記載
作曲:※メドレーのため未記載
編曲:大谷和夫
歌唱:西城秀樹
※炎~君よ抱かれて熱くなれ~ブーツをぬいで朝食を~激しい恋~ブーメランストリート~ジャガー~傷だらけのローラ~ラストシーン~ブルースカイブルー
西城秀樹さんは1972年のデビュー。同時期にデビューした野口五郎さん、郷ひろみさんと「新御三家」と呼ばれ人気を博しました。1970年代から80年代の歌謡界では彼を抜きで語ることができない、紅白歌合戦や年末の賞レースでの活躍や芸能人水泳大会などでもスポーツ万能なところを見せつけます。いろんな意味で「男らしい」という印象を持ちます。
ヴィレッジ・ピープル「Y.M.C.A.」
YOUNG MAN (Y.M.C.A.)はヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」のカバー曲になります。
VIDEO
原曲「Y.M.C.A.」の歌詞を自分なりに訳してみますと、「若者、君には君の場所がある。お金が無くても、そこにいてもいい。楽しい時間がたくさんある」って感じなんだけど、だんだん歌詞が怪しくなってきます。「Y-M-C-Aは楽しいところさ」「男の子とたむろするための」とか要はそれそのものを歌ってるんですね。
これは「Y.M.C.A.」がYoung Men's Christian Association(キリスト教の若者向け簡易宿泊所)の意味ですので、歌詞の中には「yourself cleaned」「good meal」自分で掃除してうまい飯食える、そして「whatever you feel」感じることは何でもできる~って感じですかね。
(そう思うと、ファイターズさんが球場で流してる原曲アレンジの「Y.M.C.A.」部分、このあたりなんだけど、まぁ、札幌ドームも自分で掃除して飯食える(安くはないが)そして球場で感じることができる~なら、まぁ外していない歌詞なのかもしれませんが)
YOUNG MAN (Y.M.C.A.)の歌詞
その歌詞を商業作家ではないあくまで西城秀樹さんの当時のマネージャーであるあまがいりゅうじ氏が訳詞していますが原曲のゲイ的なワードを廃して爽やかな歌詞に仕上げています。ある程度素直に訳しつつも、怪しい場面を封じ込めて青春歌謡的に仕上げたのは面白いです。あまりひねりを入れていないというか、原曲の直訳部分が結構入ってるように見えます。
「pick yourself off the ground」を「さあ立ち上がれよ」って、これ直訳的には地面(底辺)から自分で拾い上げてって感じだから、立ち上がれって鼓舞はとてもイメージできそうです。「cause you're in a new town There's no need to be unhappy」新しい街で、もう悲しむことはない~って感じなので、「今飛び出そうぜ」「もう悩むことはない」って、いやいや、本当に良くできていますよ。
先ほど紹介した部分も「君の行く先に 楽しめる事があるんだから」と「それ」と取られない感じに仕上げているのはなかなかです。原曲にある「dough」はスラングだよね。
あと、「場所」としてのY.M.C.A.については排しています。ですので若者を鼓舞する内容で、原曲のいいとこ取りした感じになっているのは素敵だなと思うのです。
YOUNG MAN (Y.M.C.A.)の記録
売上枚数はオリコン社のデータでありますが、100万枚記念のゴールドディスクが作られていますので、集計対象外の店舗での売上も多かったのであろうと思われます。当時の電算技術、通信技術の面で売上集計は当時どうしても都市部に偏重していましょうから、それだけ全国的なヒットであったと言えそうです。オリコンチャートでは3月5日付けで3位、翌週から5週連続で1位を獲得しています。
そして何より特筆すべきはザ・ベストテンでしょう。1978年1月に放送開始されたザ・ベストテンはキャンディーズの解散、テレビへの出演をしないとしていた松山千春さんの出演交渉に成功するなど人気を不動のものにしています。
1979年はそこから見ると落ち着いた年だったように思います。ツイスト、アリス、ゴダイゴとバンド、フォーク系の歌手が多くランクインしている時期です。また、秋には引退発表される山口百恵さんも上位にランクインされていました。
YOUNG MANは3月8日に6位で初登場。この時点ではレコード売上は3位、有線放送ランキングは圏外、ラジオリクエストは10位、はがきリクエストが3位という状態です。ちなみに総合得点が7989点でしたので、当サイト管理者的に計算しますと有線放送ランキングは22位または23位となりそうです。
(ザ・ベストテンのランキングは4要素を配点基準で計算した上で3.333倍するが、この当時レコードランキング3誌と有線放送ランキングの配点は10%であるので、レコードランキングの差異か有線放送ランキングの差異かが確定できない。ちなみに番組発表のレコードランキングは3誌の平均であるので、この情報だけでは順位を確定できないのであります)
さて、その翌週、3月15日についにYOUNG MANは1位を獲得、得点は9349点でレコードランキング3誌のいずれかが2位になります。
番組発表ではレコード売上は1位、有線放送ランキングは5位、ラジオリクエストは6位、はがきリクエストが1位です。
どれだけ売れて流行した曲も、有線放送のランキングで上位を狙うのは難しいことになります。この週の有線放送ランキングの1位はカサブランカ・ダンディであります。また、演歌系も強いことが覗えますね。
その有線放送ランキング、ラジオ放送ランキングも翌3月22日付けでは2位まで上昇。総合得点は9869点と高得点です。3月29日にはラジオも1位、有線は3位に後退しますが9932点まで得点を上げてきます。当時ラジオリクエストの配点は29%ですから有線放送ランキングよりも1つ上げることの点数差が大きくなるのです。
ついに4月5日、ザ・ベストテン史上最高得点9999点が生まれます。レコードチャート3誌(オリコン・ミュージックリサーチ・ミュージックラボ)、有線放送ランキング(キャンシステム・時事タイムス)、全国JNN系列テレビ兼営ラジオ局のチャート、そして番組に届いたリクエストはがき、全てが他の曲を上回った。全ての項目が1位の場合9999点が生まれるシステムです。
2位の山口百恵さん「美・サイレント」も9036点と決して低い値ではありません。3位の沢田研二さん「カサブランカ・ダンディ」8969点と健闘しています。でも、YOUNG MANなのです。
そして、翌週4月12日にも9999点の1位を獲得しています。この2週だけで以後誰もこの記録を達成したアーティスト、楽曲はありません。
ザ・ベストテンの9999点は何が凄いのか?
ザ・ベストテンの得点集計システムをもう一度おさらいしておきましょう。
番組では4要素としていましたが、実際にはレコード売上ランキングを集計する3誌のランキングを参照していますので6つの要素から得点が作られています。
レコード売上ランキング
・オリコン
・ミュージックラボ
・ミュージックリサーチ
1位から30位の楽曲に1位=30点、2位=29点と点数を付けて30位は1点として各集計します。レコードの売上枚数が多くてもランキングが上位でなければ得点に繋がらないというシステムになります。
有線放送ランキング
キャンシステムや時事タイムスが加盟する全国有線音楽放送協会のランキングを同様に30位までを得点化しています。
ラジオランキング
JNN系テレビ局でラジオ放送も兼営している局のランキング番組のデータを同様に30位までを得点化。
はがきリクエスト
番組に届いたはがきでのリクエストをランキングし同様に30位までを得点化。
このようになります。さらに重視する得点配分があります。当時ならレコードは各誌10%づつ、有線放送は10%、ラジオランキングは29%、はがきリクエストランキングは31%(単純にその数字を掛ける)全ての項目で1位を獲得すれば3000点満点となります。番組上は各項目を3.333倍することで9999点を「満点」としているのです。なお、得点配分の係数は何度か変更になっています。
ザ・ベストテン得点ジェネレータ
https://www.thursdayonion.jp/btscore.php
4要素(6要素)を入力すると得点を表示する簡単な仕掛けを作ってみました
いずれもランキングを得点化していますので、たとえばはがきリクエストの枚数の差異などは考慮にはいらないということです。逆に言えばどれだけレコードが売れても比較的大人の利用が多い飲食店での契約が多い有線放送のランキングや若年層の視聴者が多いラジオのランキングが伸びなければ上位は狙えません。そういう意味で全年齢層へのアピールがあってこそのザ・ベストテン上位ランキングであるということがわかります。
さらに、各項目で満点を獲得することの難しさがあります。レコードは通常は発売日に近い方がファンが購入して売れますので、2週目以降に売上が上がるためにはファン以外の獲得も重要です。さらに、レコードランキング誌の集計期間を考えると番組で発表するランキングは2週前に確定、実際にレコードが売れたのは3週から4週前という集計期間の問題があります。そのなかで複数週1位、しかも全項目で満点を獲得するのはものすごく難しいことなのです。ですのでこの当時発売数週間後に特典や仕様をかえたレコードの発売が見られるのはファンが2枚、3枚と複数購入することを狙ったものと言えましょう。私が知る限り「YOUNG MAN」は1形態でしかシングル盤の発売は無かったはずです。
有線放送は各アーティストの鬼門といえましょう。特に流行の先端だったヒット曲はなかなか「おじさん」には受け入れられません。有線放送でのリクエストチャートが伸びず9999点を獲得できなかったアーティストが3組います。
ザ・ベストテンの第1回通常放送である1978年1月19日放送の1位が9965点を獲得したピンク・レディー「UFO」、9966点を獲得している1984年9月20日の1位であるチェッカーズ「星屑のステージ」、9965点を1988年4月14日と4月21日の2週にわたって獲得している光GENJI「パラダイス銀河」。有線放送ランキングが2位で満点を獲得できなかった惜しいランキングです。このときの有線放送1位の楽曲が中島みゆきさんの「わかれうた」、中森明菜さん「十戒(1984)」、長渕剛さん「乾杯」ですので、あー、確かに有線でこれらの曲よりも演奏されていそうな印象はありましょう。
また、組織的なファンの結束が無ければ番組へのはがきリクエストの枚数も増えません。9922点を獲得した1981年10月1日のイモ欽トリオ「ハイスクール・ララバイ」はがきリクエストが2位なので、配点比率上得点が大幅に下がってしまうのですね。このときのはがきリクエスト1位は田原俊彦さん「悲しみ2ヤング」で、ファン組織が充実し、大量のはがきを送ることができたことでの9999点阻止と言えましょう。実際のはがきの枚数の差が気になりますね。
YOUNG MANは9週にわたりザ・ベストテンで1位を獲得、5月末まで10位以内にランキングされ生放送で歌唱しています。
それだけ長い期間レコードが売れ続け、有線やラジオ、そして番組へのはがきが大量に届く、それがとかく凄いことなのです。全年齢を対象にした、本当の意味での大衆的ヒットソング。それがYOUNG MANなのです。
若者!若者は貪欲に欲しいものを言った方がいい
このサイトはお腹も出っ張ってきて、頭も薄くなったおっさんが書いています。私個人はこの曲を今でも心の糧に失った「若さ」を追い求めるように思うのです。
若いうちは やりたいこと 何でもできるのさ
プライドを捨てて すぐに行こうぜ
夢があるならば とまどうことなど ないはずじゃないか
ほら両手あげて 足をふみならして 今思う事を やって行こう
私は日々に追われて、やりたいこともできず、夢なんかあったっけ?そんな人生を歩んできました。そして、今の「若者」を端から見ると、若いと言うだけで目の敵にするかのような「大人」におびえているような、そんな状態にあるような気がします。
何故か若者に人気だったり、若者が好んで行く施設が潰され、高齢者向けの施設に変わっていきます。そのくせ口だけは「若者に来て欲しい」とか戯言を言う大人を見ると反吐が出そうです。
あなた方が行きたい場所、ほしい場所、ほしいもの、そして自分たちが気に入ったものを褒めて、素晴らしいと発信して、そして、大人が作った若者に本心では寄り添っていないものにどんどんダメ出しをしてください。
発信しないと無視されます。大人はあなた方の倍以上います、高齢者に至っては約4倍います。高齢者が一人納得しないとクレームを入れれば若者向けのサービスや施設は簡単に潰されます。だから、暇で電話でクレームを言うだけ声のでかい高齢者以上に大きい声で「自分たちの素晴らしいもの」を訴え続けて欲しいのです。
中途半端でどちらかというと高齢者に足がかかった私からも、できるだけそんな状態をなくしていきたい、こんな記事につなげて言うことでは無いような気がしますが、そう思うのです。