くるまのニュース ライフ バブル時代は光るリアスピーカーがカッコ良かった! 昔とは違う現代のスピーカー事情とは
バブル時代は光るリアスピーカーがカッコ良かった! 昔とは違う現代のスピーカー事情とは
https://kuruma-news.jp/post/253534
音楽録音媒体としてのコンパクトカセットは熱に弱く、車内で長時間放置するとテープが伸びるなど再生に問題が起きることも多かった面があります。それでも多少雑な扱いを行っても壊れにくいなど、車内で音楽を聴くという事に関しては長く愛用されたと言えましょう。
1990年代になると車内音楽環境は多様化します。首都圏や大都市圏では2局目のFM局が開局、1988年のJ-wave、1989年のFM802に1993年にはノースウエーブ、クロスFM、ZIP-FM、そして民間FM放送の無かった地域にも開局が相次ぎ各地域で高音質な音楽放送が楽しめるようになったこと。テープの編集も楽ではなく、合間に交通情報なども流れるFM放送で「いいじゃないか」ってのもあったように思います。また、選曲が「歌謡曲」ではないだけにあまり知られていない格好良さというのも一つでしょうか。
1992年にMD(ミニディスク)が発売になり、カセットテープからの置き換えが期待されました。デジタル録音であり音質の劣化の無いMDはカーオーディオからも注目された媒体でした。しかし、これに待ったをかけたのが1992年に改正された著作権法による保証金制度でした。録音機器の購入、ブランクMDメディア購入で保証金が上乗せされることもあって機器の価格が高く、それでいて実際のビットレートが低いことでCDと同等の音質は得られない(SPモードで292kbpsのはずで、考えようによっては現在の音楽配信であるSpotifyの320kbitより低いとも言えます)という不満が出てこようとも思うわけです。もちろんコンパクトカセットよりは簡便であるという面はありましたが爆発的な普及には至りませんでした。
1989年にCD-Rが登場してこれまでの「曲順の編集」という作業から、アルバム丸まんまコピーという形に、理論上はCDからの音質劣化も無いはずですし、同じ時期クルマにもCDプレーヤつきのカーオーディオが普及しはじめますので、とりあえずクルマにはお気に入りのCDを持ち込んで、またはレンタルCD店舗から借りたCDをCD-Rに「私的にコピー」して持ち歩く、こんな感じになっていく。
さて、あくまで個人的にすごく気になっていた「車載音楽システム」がありました。2004年に開局した「モバHO!」です。通常、衛星からの電波で放送を受信するためにはそれなりの大きさのパラボラアンテナを正確に人工衛星に向ける必要がありますから、走行する車内での聴取はむずかしいものでした。モバHO!では小型の無指向性アンテナでの聴取ができるようになっており、テレビ、ラジオ放送が車内でも楽しめるという画期的な仕掛けでありました。また、都市部のビルの谷間などは電波再送信のための設備を持たせることで途切れにくい環境もつくったというものです。
実際MTVやMusic Japan TVなどCS放送される音楽チャンネルの視聴が可能で、ラジオ放送も「有線」的な24時間音楽チャンネルを提供していたというものです。
「モバHO!」3月末に終了 ワンセグに敗北
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/0807/29/news045.html
2008年にサービスは終了。原因をワンセグとしていますが、それだけ特に「移動体」である車内音楽聴取環境が多様化されてきた。カーナビの普及もあってクルマに液晶画面があればそこにテレビの映像を映し出せるワンセグ放送(2006年開始)も含めた多様な競争に敗れたというか、有料のサービスがなかなか受け入れられなかったともいえましょうか。
ただし2010年頃から当初は受信料対象外としていたワンセグ端末も対象とし裁判でも確定したことから携帯電話でのワンセグ搭載端末は減少、現時点では1機種も発売されていないという「オワコン」となったのは残念なことでもありました。なお、受信料問題はカーナビの機能にテレビがあることについても同様の問題があり、今後はテレビ機能を排するカーナビ機器が一般的になっていくのかもしれません。
なぜ「カーナビ」でも「NHK契約」必要? 「テレビだけ」が契約対象じゃない放送法…「嫌なら見るな」は可能なのか
https://kuruma-news.jp/post/522669
(余談ですが、家庭にテレビがあり受信契約を行っている場合、携帯やカーナビでのテレビ受信に追加費用は不要ですが、法人などの契約では受信機1台あたりの受信料が必要なため社用車1台1台のカーナビでの受信料が必要であると解釈できます。あくまで企業側の担当者としてはテレビの受信ができないカーナビの発売を切に望みます)
カーナビの受信契約判決 トラック業界に波紋、新たな負担の恐れ
https://weekly-net.co.jp/news/46750/
車内オーディオの多曲化の最初は2001年のiPodの登場になろうかと思います。車載だけでなく音楽を持ち歩く、ウォークマンから始まった携帯音楽端末がCD・MDと媒体を変え、HDDやメモリーを搭載して1日で聞き終わらないほどの容量を持ち歩けるようになった、そして著作権法による保証金制度はこのHDDやメモリーオーディオに関してはそれを徴収できないとされ現在のところ無償となっています。ただし見直しの議論はあるようです。
「iPod課金」は妥当なの?「年額40億円」求め再燃する“私的録音補償金制度”議論を問う
https://www.businessinsider.jp/post-188505
ともかく、家にある全てのCDを飲み込むことができるほどの容量をもつiPodの誕生と、楽曲を購入し、それがすぐに聞くことができるiPhoneの仕掛け、そして定額サブスクリプションサービスの台頭で、もはや物理的になにかをクルマに積んでおくという必要性自体が乏しいものになってきているのも確かでしょう。今や多くの車内オーディオは無線で携帯電話と繋がることで音楽を再生できますし、ラジオ自体もRadikoなどで過去に遡って聞くことができる、環境さえ許せばネットラジオやYoutubeなど動画も再生できます。
That's the Way (I Like It)
K.C.&ザ・サンシャイン・バンド
1975/1/1