2024/01/04
歌謡曲が好き
もくたま特集
KAN
80年代歌謡曲
90年代歌謡曲
楽曲紹介
KANさんの「愛は勝つ」以前のシングル楽曲を聴いてみる
目次
1987年04月25日 テレビの中に
1987年10月25日 BRACKET
1988年06月25日 だいじょうぶI’M ALL RIGHT
1988年11月25日 Over You
1989年05月01日 東京ライフ
1989年09月01日 REGRETS
1990年05月25日 健全 安全 好青年
1990年09月01日 愛は勝つ
配信
新年最初のもくたま特集は昨年末に突然の訃報に驚き、そして悲しんだKANさんの楽曲を聴いてみます。
個人的には1988年からはじまったKANさんのアタックヤング(STVラジオ)の初回放送を聴いており、当初は誰?と思っていましたが、なんでしょうね、初回から面白くなりそうな雰囲気は非常に持っていて、毎週とは言いませんが結構な頻度で聞いていました。空きっ腹に団子とか、今もネット上にちょっと当時の録音があったりしますが、今聞いても笑えますね。
確かエンディングテーマは、当時3作目のアルバム「GIRL TO LOVE」にあった「言えずのI LOVE YOU」で、これが後になってシングルカットされたのは驚きました。
KANさんの楽曲はサブスクリプション配信がなかなかされておらず、2006年から2020年にかけて発表された楽曲を2023年11月に解禁、そして、そこからわずかな日数で旅立ったことをファンは聞くのであります。
その後立て続けに1997年から1999年のワーナーミュージック・ジャパン発表の楽曲が2023年11月29日から、そして12月20日、27日にわけて、ポリドール時代を含めたほぼすべての楽曲が配信されています。
サブスクリプション配信サービスには様々な意見がありましょうが、なかなかレコードやCDでは入手できない過去の楽曲をまず聞いてみるというフックが必要だとも思うのです。当サイトがこのような特集を行うのも、改めて楽曲を聴くことで再発見できることが多々あること、そしてそこから他のアーティストや同じテイストの楽曲を知るなど「知ること」がまず大事ではないかと思うのであります。
ともかく、特に初期のアナログレコードで発売された楽曲も含めてKANさんの楽曲を聴いてみて、本当に才能にあふれた方を亡くしたのだと悲しむのです。
それではデビュー曲から聞いていきましょう。
1987年04月25日 テレビの中に
デビュー曲、2枚目の楽曲まではアナログレコードのみで発売されています。後にベスト盤やアルバムの再販などでCDでも聞くことができますが、当時のジャケットを見ながら聞くことができるというのも今回の配信では見逃せない部分です。
さて、同じ日に発売されたアルバム「テレビの中に」から2曲がシングルとしてチョイスされています。編曲もご自身で行っていて、アマチュア時代からの楽曲ではあろうかと思いますが、デビューシングルにして才能を感じます。
以前なにかのインタビューで、この楽曲で歌われている彼女は小泉今日子さんとしています。自分も「テレビの中」に行くのだという野望がはじけた若さを感じる楽曲です。なかなか当時このような曲が世に出にくかったことも思うのであります。
Track:1 テレビの中に
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN
打ち込み的なA面からうって変わってピアノです。KANさんといえばライブではピアノを演奏し、そのピアノに上ってパフォーマンスするのがお約束でありますが、ピアニストとしての才能にも恵まれたことがわかります。当時に聞いたわけでもないのだけど、どこか懐かしい感じがしますね。作詞の長島理生さんは知る限りKANさんの楽曲の作詞しかされていません。
Track:2 セルロイドシティも日が暮れて
作詞:長島理生
作曲:KAN
編曲:KAN
セルロイドシティも日が暮れて KAN1987/1/1 1444311614
1987年10月25日 BRACKET
デビューシングルとファーストアルバム発表から約半年で2枚目のシングルとアルバムを発表しています。編曲として名前を連ねる松本晃彦さんは後に「踊る大捜査線」の楽曲で日本アカデミー賞映画音楽部門優秀賞を獲得され、この楽曲と同じ時期に吉川晃司さんの楽曲プロデュースをされていたようですね。
このシングルが含まれるアルバム「NO-NO-YESMAN」はファーストアルバムとはずいぶんテイストが違う格好いい、どちらかといえば夜なイメージの楽曲が多くて、ドライブで聞きたくなります。
Track:1 BRACKET
作詞:長島理生・KAN
作曲:KAN
編曲:KAN・松本晃彦
そのアルバムでも最後の曲であり「僕のGENUINE KISS」ジャズな感じな楽曲。若いんだけど大人、お兄さんがちょっと背伸びしているんだけど、でも格好いい、憧れるお兄さんって感じ。
Track:2 僕のGENUINE KISS
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN・松本晃彦
僕のGENUINE KISS KAN1987/1/1 1445292477
1988年06月25日 だいじょうぶI’M ALL RIGHT
1988年になって8cmの短冊形CDでも発売されています。今までの楽曲を通しで聴くとわかりますが、KANさんがいろんな洋楽楽曲にインスパイアされて咀嚼して自分のものにしている(とあくまで音楽経験のない私は思う)のだろうと思うんですね。もちろん邦楽も含めてC-C-Bを少し意識してたりといった楽曲があったりしますし、本作はきっとビリージョエルな雰囲気を持っているんだとも思いますが、まずいろんな楽曲を聴くことがアウトプットにつながるって感じがするのです。
Track:1 だいじょうぶI’M ALL RIGHT
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN・松本晃彦
このシングル2曲の入るアルバム「GIRL TO LOVE」は「言えずのI LOVE YOU」も含まれていますし、多分私が個人的にKANさんのCDを買った最初のアルバムなので印象深いのもありますが、是非聞いてほしいのです。
デビューから1年たって、プロとしての新たな心境だったり、変化だったりって感情が含まれているのかな、その後2002年に実際にフランスに移住されるのですが、それを思って聞くとまた違う印象があります。この楽曲は1993年に「まゆみ」のB面で再度録音し直して収録しています。
Track:2 フランスについた日
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN・松本晃彦
フランスについた日 KAN1988/1/1 1445293413
1988年11月25日 Over You
長くアルバムに収録されていなかったシングル書き下ろし楽曲なのかしら。林部直樹さんは後に米米CLUBに加入されます。
KANさんが正直なのだなと思うというか、歌詞的にそのまま歌えば変な感じになっちゃうのが、少し気だるそうな早朝の感じにちゃんと格好良くまとまってて嫌らしさがないってのがいい。面白い楽曲を作られるなぁって多感な時期のワタクシは思ったのであります。
Track:1 Over You
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN・林部直樹
「組曲」なんじゃないかな。すごく実験的な楽曲です。KANさん本人にいろいろやりたいことと求められることが違ったりするような葛藤とかがあった時期なのかもしれません。もしかするとこの年に始まった札幌でのラジオが何か思わせるものがあったのかなぁとか、勝手に思ったりします。このシングル2曲は後のB面曲メインのベストアルバム「Songs Out of Bounds」に含まれるまでなかなか聞くことの難しい楽曲だったわけで、そういう意味でも配信されたのは喜ばしいのです。
Track:2 Never Leave
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN・林部直樹
Never Leave KAN1988/1/1 1445294217
東京ライフ KAN
1989/5/1 1720137984
1989年05月01日 東京ライフ
4枚目のアルバム「HAPPY TITLE -幸福選手権-」からの先行シングルになります。個人的にも「東京」での生活を始めた頃で、キラキラした東京の姿とは裏腹にどこかせわしなく息苦しい一週間を繰り返すような、そんな心境と合わさって、ちょっとその時期を若かったなぁって思い出すのです。もちろん今も仕事が楽なわけじゃないけど、それなりに楽しみを見いだしながら笑って当時を思い出せるくらいにはなりました。
Track:1 東京ライフ
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN
この2曲を選んで、こちらをカップリングにしたというのは、いろんな考え方があるんだろうけど、あえてなんでしょうね。キャッチーなナンバーで「Over You」のあともう一回連れ出そうと頑張ってる感じがいじらしいともいえるのかしら?男の子は女の子と「レストラン」の「後」が大事なのよ()
Track:2 君から目がはなせない
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:KAN
君から目がはなせない KAN1989/5/1 1720137984
1989年09月01日 REGRETS
同じく「HAPPY TITLE -幸福選手権-」からのシングルカットです。奈良部匠平さんも米米CLUBのサポートメンバーだったんじゃないかしら。当時大阪のFM局「FM802」でヘビーローテーションされていたようです。実体験かどうかはわからないですが、身近な人に自分を知ってもらうために話すこと、正直に伝えることって難しくて、隠し事というか、失敗は話せないし、身近だからこそ嫌われたくないし。
ギルヴァート・オサリバン聞いてて歌詞もわからないのに、なんか昔の彼女思い出しちゃうような、そんな楽曲だなぁと思うのです。
Track:1 REGRETS
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:奈良部匠平
「ぼくといるときくらい単純でいてよ」って、なかなか出てこない歌詞だと思うんですね。優しいかどうかはともかく、近くの彼女に自分といるときに居心地の良さを感じてほしい、そんな思いはあります。でもキスしていいかい!なのか。大谷幸さんって平成ガメラシリーズとかの作曲の方ですよね。水曜どうでしょうの中のあの曲。
Track:2 ALL I WANT IS YOU
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:大谷幸
ALL I WANT IS YOU KAN1989/1/1 1445320409
1990年05月25日 健全 安全 好青年
ここまでのKANさんの楽曲、実は残念ながらここまでの楽曲は1曲もオリコンチャートに登場していません。まだ終了していなかったトップテンとかにも無縁でした。そのなかで5枚目のアルバム「野球選手が夢だった」から先行シングルとして発売されたのがこちらの楽曲です。
このアルバムは後から売れるわけですが、いいアルバムなんですよ。アルバムは7月25日発売で、オリコン最高位の週間2位を獲得したのは翌年の1月21日です。後に示す「愛は勝つ」がヒットして合わせて含まれるアルバムが売れていったということになります。ちなみに「恋する二人の834km」は東京と札幌の直線距離だよね。
KANさんの楽曲にレストランはキーワードかもですね。ここでも楽しそうにおしゃべりする女の子とのお食事シーンから始まります。田舎の道路脇にあるような安全標語のようなタイトルが繰り返されて頭に残ります。たまにトイレで思い出すんですよねぇ「健全!安全!好青年!」
Track:1 健全 安全 好青年
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:小林信吾・KAN
これも何かのインタビュー記事で見たんだったかしら、編曲の佐藤準さんとはあまりうまくいかなくて、この曲と「それでもふられてしまう男」のB面2曲のみのようであります。佐藤準さんはこの頃には今井美樹さんのプロデュースが忙しかった時期と思いますし、1990年8月に発売する今井美樹さんのアルバム「retour」で「雨にキッスの花束を」と「新しい街で」の作曲を行ったのもこの関係かなとは思うのですが。
国道202号線は福岡市から長崎市までの国道で故郷福岡の高校の同級生との同窓会的な、なんかいいなぁと思わせてくれます。そして最後に東京の生活である「国道246号」(東京-静岡県沼津)に触れます。
Track:2 青春国道202
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:佐藤準
青春国道202 KAN1990/1/1 1445293000
愛は勝つ KAN
1990/9/1 1720139482
1990年09月01日 愛は勝つ
この回最後のご紹介は本人最大のヒット曲「愛は勝つ」です。オリコンでは10月8日にやっと50位以内に入りまして、当サイトのデータベースでも確認できます。12月24日に1位になりますと2月11日までの7週(お正月期間は2週で集計)連続1位を獲得します。あまりに売れた楽曲ですので、どうしても一曲が目立ってしまう面がありますので、是非あわせて他の楽曲も聴いてみてほしいなとも思うのです。
Track:1 愛は勝つ
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:小林信吾・KAN
そしてアルバムには入っていないカップリング曲は「愛は勝つ」の反語な感じになっていますね。自分が好きな相手には、なかなかその気持ちは伝わらなくて、自分の嫌なところばかり見せてしまって嫌われる。でも、世界一君が好きって言い切れるのはいいですね。
Track:2 それでもふられてしまう男
作詞:KAN
作曲:KAN
編曲:佐藤準
それでもふられてしまう男 KAN1990/9/1 1720139482
配信
年末に配信されて、プレイリストが作成できましたので、通しで聞いてみると、KANさんの最初期の楽曲が輝いていることがわかりますし「愛は勝つ」一発ではないことも、それが生まれたことは必然なのだなというのもわかろうかと思います。是非。いやぁ、泣けてきた。