2024/10/24 歌謡曲が好き 読まなくていい日記

「子供の減少」と昭和歌謡趣味


目次
  1. テレビを見る層は誰?
  2. 「人」がいなくなることへの恐怖
  3. その上で「昭和歌謡趣味」を考える
  4. 高齢者が高齢者のために自分たちで

ここ最近冬の入り口というか、寒暖差が大きいといまいち調子が上がらないというか、体調が悪いわけでもないのに何かをやろうという気持ちにならないんですね。そんな中で、10月はライブ見てきたり、冬の準備を始めたりと、まぁまぁ忙しく過ごしていました。

当サイトの更新も、書きためている記事がいくつかはあるんだけど、時機を失って出せていなかったり、書き直してるうちに没にしたりという感じであります。

さて、ここ数年地上波テレビ放送では過去の歌番組の内容をかいつまんで紹介して、今のタレントさんが「信じられない!」とかいいながらという番組をいくつか見かけていると思います。テレビ局にしてもいちから番組を制作するよりは過去のエピソードを使うことで、ある程度簡便に作ることができそうですし、今を生きる方が見ると当時のナンセンスの塊のような歌番組のエピソードは面白く、そして当時を生きた人は懐かしく見ることもできましょう。

テレビを見る層は誰?


断言していいのですが、テレビを見るのは高齢者だけです。

総務省 令和5年 情報通信に関する現状報告の概要
●主なメディアの平均利用時間と行為者率
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/html/nd24b130.html#f00294

 主なメディアの平均利用時間と行為者率
主なメディアの平均利用時間と行為者率

資料は2018年から2022年までの5年間の調査で、平日、休日の1日平均利用時間を公開しています。10代がテレビを見る時間は平日で46分、休日でも70分未満です。朝の情報番組程度しか見ていないということです。そして「行為者」50%ですから、10代の半分はその朝の情報番組すら見ていない。見ている子だってほぼ朝の天気を確認するためにだらだら点いているだけのテレビを流し見ているだけ。ドラマを見たって1時間以上ですから、46分、70分じゃ「見ていないと断言してもいい。これはワタシの子供を見ていてもわかります。親がテレビを見ていても全く興味なさそうにしております。

わずか10年前の資料を見ます。

総務省 平成27年 情報通信白書
●主なメディアの平均利用時間と行為者率

 主なメディアの平均利用時間と行為者率
主なメディアの平均利用時間と行為者率

10代のテレビ視聴行為者率数は70%を超えています。ネット利用が80%を超えていてもテレビを見ている、しかも90分以上、休日に至っては2時間以上見ているんです。
新聞に至っては今の10代は全く接触がない。10代だけでなく30代ですら5%以下です。我が家でも新聞を読んでいるのは高齢の親だけです。ただ、ワタシ自身はネット上で記事検索もしますし、紙媒体でニュースを得ていないというだけで新聞記事自体は読んでいるということになります。

とはいえ、テレビ番組は高齢者向けしかないし、新聞の広告は高齢者用途のものばかりで広告枠すら埋まらず自社広告になっているんですね。

テレビ局も、それならば視聴のメインである50代以上を対象にしたテレビ番組を作りたい。「歌番組」としては「今」のアーティストを出しにくく、過去の映像を流すのが最も喜ばれることになってしまう。当然ますます若い人はテレビを見なくなる。悪循環なんです。

50代に入ったワタシも、テレビは野球中継をCS放送で見るための「モニター」としての機能に割り切っていますし、今はそのテレビ本体でYoutubeなどのネットメディアも見ることができる。「放送」と「通信」の垣根はもうないのですね。そして見たいものを見たらテレビは消してしまうので、それ以上何かだらだら見るということも無くなってしまいました。

「人」がいなくなることへの恐怖


少子高齢化と言葉だけは長いこと聞いてきましたが、元々人数の多い中で過ごしている世代のワタシとしてはなかなか実感が得られませんでした。
1973年生まれのワタシが生まれた当時、国内の出生数は200万人を超えていました。小学校は当時住んでいた自治体の配慮で35人学級になっていましたが、中学校は40人学級でクラスの後ろまで椅子と机がぎっちり詰め込まれていました。
ちなみに1学級あたりの児童、生徒数は俗に団塊の世代が学生であった1960年代前半で50人、その後45人時代を経て1980年に40人になっています。ちなみに2009年に小学校1年生を35人学級にできたものの、段階的に35人学級にしている最中で、現在も中学校は40人学級ではないでしょうか。

しかし、この状況は長くは続きません。当地北海道でも札幌市で1974年の24,525人をピークに出生数は減少し、長く1万5000人程度を維持してきたものの令和に入ると急激に減少、令和4年に1万2000人を割り込んでいます。
そして、まだ札幌市を見ていると出生数を一定維持できていた時期がありますので、あまり極端な人口減を感じられない面があります。しかし、北海道として全体で見ますと、極端な少子化が見えます。
 学年別の児童数・生徒数
学年別の児童数・生徒数
高校生の数は通信制高校などへの進学分がわからないので少し減るわけですが、このあと社会に出てくる「大人」があと10年以内に1万人以上減るということになります。
北海道全体の出生数は1995年に5万人を割り込み、2011年には4万人をも割り込みました。2016年に全国の出生数が100万人割れ、そして、昨年2023年に生まれた子供は北海道で24,430人全国で727,288人です。加速度的に子供の数が減っている(もちろんコロナ禍という面もある)わけです。
ざくっと北海道の「高校生」の数は5年後には8600人、10年後には2万3000人、15年後には現在に比較して4万5000人減ることがわかります。
 出生数とその学生が全員残ったとして高校生徒数推計
出生数とその学生が全員残ったとして高校生徒数推計

このあたりの資料をあくまで趣味で作っておりますのでよろしければご覧ください。

北海道自治体別年別5歳人口
https://www.thursdayonion.jp/txt/population.xlsx


北海道小学校・中学校・高校生徒数
https://www.thursdayonion.jp/txt/hokkaidoscool.xlsx

子供が減るということは、「仲間が減っていく」ことでもあります。同学年が200万人いたわたしたち団塊ジュニア世代は残念ながら社会的に「機械より安く」「代わりがいくらでもいる」とされて虐げられ、結果子供を持つ家庭が極端に少ない。それでも2000年生まれは少し多くなった、100万人は生まれていたんです。それが維持されなかった。今、団塊ジュニアジュニア世代は70万人ほど、かれらが社会に出る20年後、本気で半分以下の勢力で社会を維持しなければならない。いや、維持できるわけないですね。
結果選択と集中、集約化機械化は避けられないわけです。都市部はなんとか複数の選択から選ぶことができるかもしれません。しかし地方部は流通も交通も、道路の維持や極端には携帯電話の基地局の維持とか社会インフラすら維持が難しくなっていくとも言えるのです。

極端言えば北海道ではあと数年で高校生、大学生が今の半分になるのです。1985年に斉藤由貴さんが主演したドラマ「スケバン刑事」のオープニングナレーションを覚えていますでしょうか?「日本の高校生、その数およそおよそ490万2千人~」と続きます。日本の高校生の数はこのあと1989年に564万4千人でピーク、現在は290万9千人となります。
彼らのアルバイトでまかなわれているスーパーやコンビニ、ファミレス、居酒屋さんなどに従事できる数も「半分」になる。もはやコンビニが24時間じゃない!しかもセルフレジ!猫のロボットが料理運んでくる!なんて味気ないんだ!みたいな意見は通らないんです。そして、その後は「利用自体は多いのに」サービスが維持できないような状況になる。

40人学級の話をしましたが、都市部を少し離れれば、1自治体1小学校、中学校も維持できず、完全に義務教育学校に集約された歌志内や比布を含め現時点で25地域が義務教育学校に集約、義務教育学校といえば聞こえはいいですが、学校規模が確保できないために9学年を一つの学校でなんとか維持しようという試みになります。
これも、いまや1自治体で児童数が6学年で9人という音威子府村を筆頭に児童が100人未満の自治体が北海道には40あります。これでは義務教育学校化しても規模を維持できず、将来的には自治体の垣根を越えた統合化も視野に入れなければならないところにきている。通学にはスクールバスが必要というのは避けられない状態です。もはや恐怖を覚えるしかありません。

その上で「昭和歌謡趣味」を考える


当サイトでは1970年代から1980年代、そして1990年代までの楽曲の検索やランキングなどを表示するサイトであります。当然にそれに興味の無い方は来ないわけです。しかし、様々な世代の方が当時昭和後期、平成初期の「歌謡曲」特に歌番組が魅力的だったと捉えています。
その1970年代当時楽曲制作やプロデュースに従事するのは「団塊の世代」の方々です、1947年から1949年生まれまでの約800万人、もう少し広く1945年-55年までの約2000万人を指す場合もありますが、とかく人数が多くて彼らだけでムーブメントが作っていけた方々が、海外からの新しい音楽を聞き、それを咀嚼して新しい音楽を創っていった。そして消費行動の拡大は生産能力の増加が必要で景気拡大に繋がっていく。グループサウンズ、カレッジフォークで頭角を現した皆さんが次世代のアイドル像を造っていったと言えましょう。

大衆の娯楽がテレビでありますし、消費拡大の時代ですからテレビ番組には数多くのスポンサーがつき、番組制作費も拡大、予算が潤沢な豪華な番組が次々登場していく、予算がかけられるからこそ楽曲も豪華になっていく、この当時のテレビ番組や楽曲の作り方は今から想像することもできないようなものだったとも言えましょう。

そして、団塊ジュニア世代を向けに子供番組も盛況になる。夜7時台には子供が親と一緒に楽しめる番組が並ぶことになります。子供向けと言われる番組でも、予算は大変だったといいながらも今に比較すれば豪華です。
今、子供達が見たい番組はなく、子供達があれほどまねをしたお笑い番組なども下火、ネットの「識者」の口ぶりをまねる小学生くらいなら笑い話で済みますが、実際は何者かわからない人間の戯言を真に受けていたりもしますから危機感があります。もちろん「真実に目覚めた」とか不確かな情報を真に受けている大人も同様ですが。

子供が大人の世界を垣間見れたり、世代が揃ってテレビをフックに意見を言い合ったりすることもなく、子供と会話すらままならない状況のなかで、団塊ジュニア世代は自分が子供の頃に見た懐かしい番組を追い求めて違法配信のネットに行くしかない、そういう状況になっていました。

だからこそ「懐かしの~」な番組で正規の方法で見せてくれるのが本来ではあります。しかし、ワイプで出演者がコメントを歌にかぶせて言い合う様を見たいわけではない。結果、CSチャンネルが頑張ってくれているレッツゴーヤングやザ・ベストテン、夜のヒットスタジオなどはありがたく見ている。ええ、結局地上波見ないんですよね。

そして、楽曲も聴きたい訳です。配信対応が進んではいますが、まだまだ聴けないアーティストが特に旧ジャニーズ事務所の方は全滅です。どう「聴きたい」を実現するのか。結局は違法アップロードのYoutubeや海外サイトを使ってしまうことになる。なんとかそれを辞めて、正規な手段で聴けるようになって欲しい。そう思うのです。

そして、当時の歌番組を「すごかっただろう?」と訳知り顔で若い方に言うのがとても嫌なのです。もちろん自分もそれをやってしまう自覚があるけれど、実際そんなものを聞きたいわけではないんです。

高齢者が高齢者のために自分たちで


老老介護と言われて久しくなっています。高齢者がさらに高齢の方を介護していく、結果各サービスも同じで人数の多い高齢者がこれからも社会を支えて行かざるを得ません。といいながら、高齢者は免許を返納せよ!って言われてしまいますね。
また地域が地域だけでなんとか社会を回していく方向になっていくんでしょうか。

歌謡曲好きは、歌謡曲好きとしてこの世代が頑張って未来にデータや音源を残していかなければなりません。そして、今だからこそ団塊の世代が生きているうちに、もっと前、1960年代以前の楽曲もデータにしていく必要があります。オリコン社がヒットチャートを公開しはじめたのが1968年。それ以前のヒットチャートで体系的なものはほとんどありません。1960年代の都内レコード店で集計したヒットチャートを集めた本が発売されています。

シンコーミュージック・エンタテイメント
ミュージック・ライフ 東京で1番売れていたレコード 1958〜1966
https://www.shinko-music.co.jp/item/pid0646533/

これでやっと1950年代後半です。これより前になりますと資料がかなり限られます。1958年は昭和33年です。それ以前、戦後復興期のレコードについての資料は少ない。さらに以前、戦前ともなると資料が焼失しているというのもありますね。

当サイトは未だ1980年代のレコード(特にオリコンチャートにランクインしていない楽曲)のデータ登録に四苦八苦し、オリコンチャートにランクインしている楽曲すらB面や作編曲者情報が登録できていないという中途半端なサイトではあるのですが、野望としては戦後から2000年代の8cm短冊形CD全盛期くらいまでは検索できるサイトにしたいと思っているわけです。そんなものを若い人にさせる必要は無い。もっと生産的なことをやってもらわないと。

過去を振り返るのは「高齢者の特権」なら、高齢者に片足突っ込んでいるワタシは生涯かけてこれに取り組んでいこうじゃないかと思っている次第です。

とりとめありませんが、将来が怖い、でも、将来が怖いからこそ虐げられた私たちが頑張るほかない。そういう役割の世代なのだと割り切るしかありません。やるなら楽しまないとね。

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