2015/09/03 読まなくていい日記 歌謡曲が好き 水曜歌謡祭

水曜歌謡祭終了に思う



フジテレビが肝いりで始めた音楽番組「水曜歌謡祭」が終了した。わずか半年の命だった。
音楽番組の衰退というのは今に始まったことじゃないし、ある程度番組を見続けていればこの結果になることは簡単に予想できた。そして、そんな予想を覆すことが結局できなかったことに寂しさを感じます。

生放送の音楽番組は大変だったと思う。年数回のFNS歌謡祭ならともかく、それを毎週行うのは出演者もスタッフも疲弊してきたのかなと思うところはある。でも、回を追うごとに何かが違う、歌番組としてこれではダメではないか?という部分が増えてきました。

半年とはいえ、この番組はわずか12回で終了したことになります。間にFNSうたの夏祭りが入って似たようなことをやったのもあるけど、それにしても少なかった。特に8月は番組が打ち切りになったと思うほど間が開きました。

関東地区の視聴率の結果です。ただの1度も二桁に乗らず、6月3日には3.8%という非常に低い数字を出しています。藤井フミヤさんの出演回でしたが、この結果の裏にはその前の回に大変な問題があったと考えます。その5月27日の回を見た視聴者はもう二度とこの番組を見ようと思わなかったんじゃないかなと。そして6月3日の回を見た視聴者はもうこの番組を「歌番組」と思っていないと思う。

4月15日 7.3%(2時間)
4月22日 7.6%
5月06日 6.5%(2時間)
5月20日 4.8%
5月27日 4.1%
6月03日 3.8%
6月10日 4.9%
6月17日 5.1%(2時間)
7月08日 5.4%(2時間)
7月22日 5.0%
8月19日 6.5%
9月02日 7.0%

そもそも初回、和田アキ子さんが出てきて、これは期待できるぞって思った視聴者はどれほどいたでしょうね。
私自身はそれなりに期待してみていました。松崎しげるさんとT.M.Revolution西川さんのコラボなんか実際面白かったんですよ。でも、ワタシはあの日、最初に和田アキ子さんとAKBの皆さんが出てきたときに、この番組は「変えようという気概」を感じなかった。FNS歌謡祭のいいところより悪いところを最初に見せてしまった気がするんですね。
もちろん和田アキ子さんにもAKBにも罪はありません。しかし、違った見せ方もあったと思うんです。

それでも初回は「お祭り」ですから面白く見た方も多かったと思いますし、次回に期待するものもあったと思うんです。
4月22日の槇原敬之さんとNEWS増田さん(失礼ながらジャニーズアイドルと期待していなかった増田さんがすばらしかったのは発見でした)もよかったですし、さかいゆうさんも発見できましたしね。

その後1週開けたのはよくなかったかもしれませんね。世間は連休中でしたし、5月6日回は未視聴。ただ、中森明菜特集でご本人出演の期待とかもあって裏切られた感もあったのかも。

そしてさらに1週開いた5月20日。郷ひろみさんがひたすらに歌いまくっていたのですが、さすがにやり過ぎ。よくぞこれだけ郷ひろみさんでやったなってことで。これで急激に下がった感があります。

5月27日はもう、なんだろうなぁ。最初のアルフィから既におふざけが入って、リスペクト井上陽水とかいいながらおふざけ、そして挙げ句にクリス・ハートさんと安倍なつみさんの歌う中「ゆうたろう」氏登場。もう、ひょうきんベストテンですか!この時点で視聴諦めた層は多いと思うな。歌番組ですよ。歌番組!

6月3日も歌唱中に後ろでドタバタと・・・迷走っていうか、この状態を楽しいと思ってる方いるんでしょうか。歌番組なんです!

6月10日、この回から後はまぁ、最低視聴率のテコ入れだったと思いますけど、その方向が明らかに間違いです。久本さんは歌番組に必要の無い方です。正直曲の合間のイラッと感はかなりストレスでした。久本さんが悪いわけじゃ無いんです。彼女なりに番組を盛り上げようとしてたんでしょうから。でも、方向が違うんですよ。歌番組なんです。

6月17日太田裕美さんとか、渡辺真知子さんとか出るんで、見ましたし、まぁ標準的な回だったとは思うんですが、まぁ、ちょっと、ね。

7月8日あのロナウド回。小柳ゆきさん元気そう、ロナウド以外はそれなりによかったと思うんですけどねぇ。

7月22日未視聴。間が開くと、録画忘れるんだよね。

8月19日これは見る前からわかっていましたが、完全に生放送ではなく「うれしたのし大好き2015」と2発録りだったでしょ?ってくらい力入ってないんだもの。もうダメだと思いました。出てるメンバーがメンバーなので安くそれなりに視聴率が取れていましたね。

そして昨日。番組の終了は全くアナウンスされていませんでしたし、テレビのデジタル番組表に「終」があることで気がつきましたが、まぁ、一番最初に戻った感じで、今陽子さんもジュディ・オングさんもお元気そうで何よりでしたけど、その後の出演メンバーを見るとターゲット絞れてない感じがありますね。千秋さんを出すのですから、その時代のアーティストをもう少し出演できればもう少し違う結果になる気がしました。

10月から司会を変えずに金曜深夜に移動ということで、生放送で無くなるのだと思いますが、まだフジテレビ内部で番組コンセプトを決めかねてるんじゃないでしょうか。司会や「シンガーズ」の契約は1年だったと思われますし、半年はこの形態で深夜やってみるという感じかもしれませんね。



フジテレビには伝説の最悪の歌番組「ビッグベストテン」というのがありました。1979年11月から半年持たずに終了したザ・ベストテン模倣番組の一つです。さだまさしさんの「親父の一番長い日」をフルで演奏させた唯一の番組と思いますが、それでも視聴率的に低迷していたようで、おちゃらけ路線に走るのです。最初は多分郷ひろみさんの代役で若人あきらさんが登場した(ベストテン番組ですよ!歌番組ですよ!しかも歌ったんですよ!)もう、普通の感覚だとこれは酷いと思う。その後歌手の代役でお笑いの人が歌ったりしてたもんなぁ。よく見てたよあんな番組。子供だったからそれなりにおもしろがってたけどさ。バラエティだよね。

このあとひょうきん族で「ひょうきんベストテン」をやるわけで、それはいいですよ音楽番組じゃないんだからさ。歌う方も歌聞かせようと来ていないでしょうし。でもね、歌番組はダメです。お笑いが出るにも線引きが必要ですよ。

「水曜歌謡祭」はこの「ビッグベストテン」の亡霊が出たように思えるんです。音楽ファンを冒涜してお笑いに走り、あろうことか歌唱中におふざけしました。その曲を愛してる人を、歌手を、演奏者を、そして丹精込めてその曲を作った人をも冒涜しているように私は思えます。

ただ、「水曜歌謡祭」にもよかったことはありまして、「水曜シンガーズ」として出演されていた若手歌手の皆さんはよく頑張ってたと思います。残念ながら彼らの曲を歌う機会は非常に少なかったですが、今時ですから検索すれば彼らの曲を耳にすることができるでしょう。そういう「発見」という意味でこの番組も意味はあったと思いたい。

そして、次の歌番組が「まともである」ことを願って。

(コメント追記)
ライブ感のある音楽番組が減っている現状で、あえてそこを狙ったことはすばらしいことではあると思うんです。5%前後であっても、続けることで育てる姿勢があってもよかったと思います。

ミュージックステーションが86年に開始されたときも3%台を記録した週があったはずで、二桁に乗せるまでに2年程度かかっているはずです。80年代の歌番組の代名詞がザ・ベストテンなら90年代の歌番組の代名詞はミュージックステーション(というかそれくらいしか残っていなかったとも言えますが)であったはずです。

それが、90年代中頃から2000年代のトーク&お笑い歌番組(うたばん・HEY!HEY!とか)になって、これも結果飽きられ終了して、それでも未だにミュージックステーションが良かれ悪かれ残ってるというのは一つの解なのでしょう。レッツゴーヤングからの流れのMJも含め、生テイストの歌番組はこれくらいしか残っていないわけで。

日本独自と言われる生演奏に生歌での生放送番組。昨今では紅白ですらカラオケ使用という現実を考えると、もう手間のかかる生に拘った番組は出てこないような気がします。

それでもCS放送での音楽チャンネルは健在で、wowwowなどのライブ生中継も重要なコンテンツとして残っていますし、フジもCSではなかなか面白い歌番組をやっていますので、そういう「ニッチ」な市場としての歌番組にシフトするのでしょうね。

それでもワタシは子供や学生時代に「受動的」に聞いていたオトナの歌もアイドルもごちゃ混ぜた総合歌番組は魅力なんですよね。「水曜歌謡祭」ももう少し育ててほしかったなというのが正直な気持ちです。化ける可能性だってあったと思うんですよね。


ビッグベストテンの若人あきら出演シーンが悪びれも無くトリビアの泉に出てきたのはぶっ飛びました。番組スタッフとしてはおかしいと思っていなかったということなんでしょうね。
新:当サイトの細かな変更点
前:70年代の歌謡曲と「オケ」
次:女性グループのアルバム1・2位独占
このページのURL
https://www.thursdayonion.jp/article.php?article=60
top