2020/08/24 歌謡曲が好き

「最終便」のものがたり


目次
  1. 再会のラビリンス 河合その子
  2. 最終便 久保田早紀
  3. 最終便にまにあえば 郷ひろみ
  4. 銀河空港 キャンディーズ
  5. あなた三昧 さだまさし

歌謡曲にはラブソングが多いものです。しかも、うまくいく恋ばかりではなく、うまくいかない恋の歌は数多くありますね。時間や距離の制約を、二人の心の離れていく様に置き換えている歌詞も多く感じます。

特に飛行機で飛ばなければならないほど離れた距離というのは、もはや「確実な別れ」を表現するに的確ではないかと思うのです。空港というどこか非日常である場所、そして、特に夜間飛行に見られる航空機の灯火が去って行く姿。うーん絵になりますし、何の恋愛も無く空港の展望デッキで飛行機を見てるだけでも、なんとなく郷愁を感じたりするものであります。


再会のラビリンス
河合 その子
2002/11/20

再会のラビリンス 河合その子

「悪い噂」を聞いた河合その子さんは相手が住む町へ飛行機に乗っていくわけです。その行動力の素晴らしさは「何も荷物を持たない」で「最終便間に合わせた」ってところ。どうやら「言葉もわからない」場所に行くなら、準備が必要かと思いますが、もしかすると国内、東北とか沖縄とか方言がきついところなのかもしれません。なので、私はこの曲を聴いた時に、頭の中で、岩手県の山奥にある小さな町の駅前旅館を思い出しながら聴いていました。電話帳にちゃんと人名が載っている町(この当時はね)そしてそれを捜した結果が曲タイトルの「再開のラビリンス(迷宮)」から歌詞は「後悔のラビリンス」になっちゃうわけで、「もう、帰るわ」という寂しい形で終わってしまうのです。
でも、これ、行動したからこそですよね。行動せずに「後悔」になってしまっては寂しいわけです。捜しました、でも会えませんでした。だからこそ納得の上で「もう、このまま」「もう、帰るわ」なのでしょう。



最終便
久保田 早紀
2008/2/27

最終便 久保田早紀

「北の空へ」歌詞になる、別れの曲はたいてい北に向かいます。歌詞の世界は冬のようですし、「凍えた夜の灯りも、一粒の真珠にやがて変わるわ」なのです。どのような事情で別れたかはともかく、彼女が引き留めてもらえなかったというのは、男性側はもはや未練も無いわけで、空港に送りに来るわけでもなく、「空港のロビーから長い電話をすることもない」わけです。短い電話はしたんでしょうか?
さて、北へ向かいますが、「あなたより早く夜明けを迎えるわ」ですので、東側にも進むことになるかもしれません。特に西日本に住むと、夜明けは遅く、例えば福岡の1月の日の出は朝7時20分とかですよね。釧路だと同じ時期で6時50分ほどですから30分は早い。まぁ、歌詞の場合海外の可能性もありますので、もしかすると日付さえ変わるかもしれませんが。



最終便にまにあえば 郷ひろみ

最終便はともかく、郷ひろみさん指細い(笑)な歌詞です。どうやら彼女は指輪を置いて最終便で行ってしまうようです。郷ひろみさんは渡されたその指輪を自分の指にはめてみます。歌詞は郷ひろみさんご本人。しかもご本人の冠番組「郷ひろみの宴ターティメント」の主題歌でございました。番組自体は正直あまり印象がないのですが、半年間、月1回の番組だったようです。
ここに出てくる「片手間に恋はしないの」という女性像、1989年を思うと本当に女性が強くなったなと時代を思わせる歌詞ではあります。別れを決断するのは女性であり、当時のバブル時代の男性を召使い的に使う女性(あくまでイメージ)を彷彿させるわけです。あくまでも郷ひろみさんはどのような後悔をしたかわかりませんが、格好いい男性を「添え物」にしてた感がなきしもあらず。



銀河空港
キャンディーズ
2008/9/3

銀河空港 キャンディーズ

こちらも別れです。空港や飛行機の描写が歌詞にしては詳しい感じであります。「暗いエアポート、白い滑走路」「シルバーグレイの翼」写実的要素をちりばめると、途端に現実感が大きくなる気がいたします。これは例えばスティーブンキングのSF小説で実在のメーカーの商品や車の名前なんかをちりばめて想像が現実的になって恐怖感が増すっていう手法に近いのかな?とか思います。
空港での1つひとつがステップになっています。ロビーのアナウンス、タラップをのぼる(この当時の飛行機は今のような搭乗橋ではないところも多かった。地上から階段を上って乗る飛行機も少なくない)そして、離陸して遠い街灯りです。まだ引き留めて貰えば間に合う、ここを登ったらもう間に合わない、そして完全に間に合わないという状態を表すわけですね。
彼女がどこにも帰れないと言いながらどこへ行こうとしてるのかはわかりませんが、自暴自棄に「星屑になりたい」は困っちゃいます(笑)とはいえ、わかりやすい空港での別れの描写は竜真知子さん、キャンディーズの聴取層を考えてのことと思われます。この曲はライブでしか歌われなかったようで解散前に発売された「キャンディーズ1676日」(全曲収録のボックスセット)の未発表曲収録のDISK5にのみ収録されているはずです。



あなた三昧
さだまさし
2011/6/15

あなた三昧 さだまさし

さて、最後にご紹介するのがこの曲。さだまさしさんの描く男女というのは、どこかユーモラスな感じがいたしまして、でも、遠距離の彼を心配する女性の視点がこれでもかと現れます。栄養ドリンクのCMソングだったこともあって、とかく疲れているであろう彼を心配するのです。
1992年のバブル崩壊後の日本、とはいえまだまだ今から考えるような景気後退でもなく、皆さん頑張って働いているわけです。
「今度の週末には私が行くから」ではじまる2番。甲斐甲斐しく身の回りの世話をしたい女性像は先の郷ひろみさんの曲の世界とは随分異なりますが、この当時ですらこんな女性は多くなかったかもしれません。最終便で行くんです(きっと土曜日の夜の便でしょう)まだ週休二日は官公庁が始めたばかり、学校も含めて土曜が基本休みになるのはもっと長い時間がかかっています。なので、土曜も「付き合いのあと」で良いから早く帰ってということになります。そして、唯一の休みの日曜日にどこへも行かないで「気が向いたら笑っていてほしい」というささやかな希望を言うわけです。
きっと皆さん心の底から「頑張りすぎないでね 何もいらないから あなたが元気でいたなら 何もいらないから お仕事大変でしょうけど 無理し過ぎないで」こう言って欲しいなって欲求はあるかもしれません。逆にこんな一言で、男性はコロッといってしまうのかもしれない。そんな気もします。もちろん今は女性も大変。お互いに労をねぎらっていける関係が長続きのコツだと思いたいところです。



コロナ渦でこれまでと違う働き方が求められる世の中、そしてGoToキャンペーンなどがあれど、なかなか出かけるのが難しく、遠距離恋愛の方もなかなか会えない。そんなご時世ではありますが、会えないことを悲しむだけでなく、是非相手にねぎらいの一言を。そんなふうに思ったりします。
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