2021/07/29
歌謡曲が好き
PIZZICATO FIVE
90年代歌謡曲
楽曲紹介
今になって、いろいろ想いが巡る「東京は夜の七時」
自分にも、若い頃があったんだよな。そんな気持ちになる時があります。
若かりし頃にそんなに楽しい想い出があるわけでもなく、どちらかといえば「今」が一番楽しいと思っている私ではありますが、それでも妻のこと、子のこと、親のこと、仕事のことなどなど、まぁ、心配事はいっぱいあって、うまくいかないことが沢山あって、ふと、昔のことを思い出すと、忙しかったけどあまり考えずに猪突猛進的に頑張っていた若い自分が、少しだけ羨ましいな。そんなことを思ったりします。
今、東京ではオリンピックが開催されて、しかし、新型コロナウイルスの感染者もとても多いと報道されて、混沌とした、先の見えないような状況があります。それ自体を誰のせいと批判したところで始まりませんが、今思うと、5年前、リオデジャネイロで行われたパラリンピックの閉会式で披露された「東京は夜の七時〜リオは朝の七時〜」なんかを思い出して、4年後に何の問題も無く東京でオリンピック・パラリンピックが開かれた世界観を信じていた自分もまた思い出したりするんですね。
「東京は夜の七時」は1993年12月1日に発売されたピチカートファイブの3枚目のシングル曲になります。この曲はフジテレビで金曜夜7時に放送された「ウゴウゴルーガ2号」のテーマ曲として作られた曲になります。子供番組のオープニング曲だったんですね。
後に小西氏は「夜7時の番組で、関東ローカルだから関西はやらないと言われて。じゃあ『東京は夜の七時』ねって即答した覚えがあります」と語っています。そして、曲に煮詰まりガールフレンドに「会えない」状況から歌詞を思いついたといいます。
今歌詞を改めて聴くと、混沌とした今の「東京」そして、「会えない」現状を見たりもします。
「待ち合わせたレストランは もうつぶれてなかった」
あなたと待ち合わせで使っていた飲食店は、もう無くなってしまいました。この曲の言葉のセンスというか、なかなか「潰れて無かった(無くなっていた)」という言葉はあまり歌詞では使わないかもしれません。でも、だからこそ、その事実がものすごく重く感じたりもします。
「お腹が空いて 死にそうなの」
腹減って死にそう!とてもおなかが空いた時に言う言葉ですが、現在の飽食の時代、なかなかそこまでの飢餓感はありません。もちろんバブルちょい後の1993年にそんな状況はないんですね。でも、これこそが、本当の「心の飢餓」満たされたい欲求だったり、知らず知らずに我慢しているという状況なんかを見るような気もするんです。
「早くあなたに逢いたい 早くあなたに逢いたい」
そう。逢いたい。あなたに逢いたい。あなたと話す、その時間が愛しい。
2021年7月の今。出歩く若者が悪いと言われても、でも、彼らは逢いたいし、おなかが空いているし、そして店は潰れて無くなっている。
「ぼんやりテレビを観てた」り「ぼんやり風に吹かれた」りしながら、夜のニュースが伝える内容が綺麗に頭で咀嚼できないというか、今の北海道が暑すぎて頭が回らないというか。
「バラの花をかかえたまま あなたはひとり待ってる 夢で見たのと同じバラ」
若かりし頃。誕生日が夏である当時の彼女(今の妻である)にバラこそ入れないでも花を買っていった。あまり花を喜ばない彼女ではあったが、それをやってみたかったんだ。若かったんだよ。あのときは。クリスマスじゃなくても「嘘みたいに輝く街」で、逢いたかった。
自分ができていたことを、今の若い人はとかく制限され「悪者」に仕立て上げられることの悲しさ。そして、自分が若かった頃に、ここまで制限された状況だったら、どれだけ悲しかっただろうか。それを本当にここしばらくは思うのです。
「あいつらは大学来たら遊んでばかりで、帰りに酒飲んで騒ぐんだろう?だから大学は休校、リモートだけ!」
「居酒屋でバカみたいに叫ぶアレがダメなんだ!若いやつが対策しないから、こんなに広がったんだ!」
本当ですか?
会議室でお弁当食べながら喋ってるあなたたちは関係ないのですか?
定食屋で大声で仕事の話をしているあなたたちは関係ないのですか?
仮想敵を幾ら叩いても、本当の敵には届くことはありません。やっていることは後方から仲間を撃ってるだけです。
オリンピックで街が変わっていきます。札幌も、前回の冬期オリンピックの時に作られた様々な建物や施設が老朽化して、新しいものに変わっていっています。この「変わる」ことは、ある意味「持続していくこと」です。新しいものに変わらなければ?北海道なら少し郊外に出れば主無く捨てられている「街」を見ることは簡単でしょう。崩れかけた商店、基礎がしっかりした煙突などの部分だけを残して屋根が潰れた工場、住む人も無く無人の街に「郵便局」と「駅」だけが残る様。
東京の「もうつぶれてなかった」レストランは、多分居抜きで別のレストランが入っている。でも、自分達が待ち合わせたレストランではない。もしかしたら焼き肉屋さんに変わってるかもしれないし、飲食に利用できない高齢者マンションになってたり、家族葬の葬祭場になってるかもしれない。街は変わる。自分達が年を取った分、自分達が使いやすい形に。
そこに、今の若い人の意見をどれだけ入れられるのか。街が、地域が、国が継続することはそういう意味があるのだと思っています。
1993年オリジナルの「東京は夜の七時」東京タワーを印象的に取り入れています。東京駅前の東京中央郵便局は旧局舎の一部を残してJPタワーとなっています。
「東京は夜の七時-the night is still you」 PIZZICATO FIVE
発売日:1993年12月1日
オリコン最高位:50位
売上枚数:2.1万枚(オリコンチャートブックより)
レーベル:日本コロムビア
レコード番号:CODA-281
1:東京は夜の七時-the night is still you
作詞:小西康陽
作曲:小西康陽
編曲:福富幸宏
歌唱:PIZZICATO FIVE
2:東京は夜の七時(talking toolbox mix)
作詞:小西康陽
作曲:小西康陽
編曲:福富幸宏
歌唱:PIZZICATO FIVE
3:東京は夜の七時(instrumental)
作詞:
作曲:小西康陽
編曲:福富幸宏
歌唱: