2016/06/07 JASRAC 歌謡曲が好き

とはいえJASRACがないと著作権管理は面倒なわけで




ITmedia 2016年06月07日
JASRAC、美容室など全国212施設に一斉法的措置 BGM利用の著作権手続き求め
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1606/07/news107.html


通常店舗がJASRACに支払う金額は
500m2までの店舗で年額6,000円であります。
これで店舗が所持するCDを店舗内で演奏することができます。
これを使用した楽曲を元に各権利者にお伺いを立てて使用料を払うのはなかなか敷居が高いわけで、JASRACは包括契約という形で徴収したものを各権利者に振り分けているわけです。

とはいえ、店舗でどんな楽曲を演奏したかはJASRACではわからないので権利者への配分はどんぶり勘定になっちゃうわけですね。これでは折角良曲を作っても権利者は浮かばれませんし、店舗にしても○○さんを応援したい!とその方の権利曲だけをかけても結局その方には金が行かないのですから「払い損」な気持ちになっちゃうのもこれまた事実で。

しかも、今のJASRACはネットからダウンロードした楽曲やiPodに入っている楽曲なんかはこの包括契約には含まれないので別途契約を求められます。既にいちいちCDを演奏するなんてことをする店舗は既にないでしょう。これはCDを店舗が購入して手元にあればグレー(本来はNG)でしょうが、店員が自分で購入したCDをiPodに入れて店舗で演奏するのは完全にNGになるわけで、言ってることはわかるんだけど、時代に全く追いついていない。

喫茶店を営業していて、好きな曲を店舗でかけたい。この欲求のためにJASRACに金を払うまではいいとして、そのためにはいちいち現物CDを入れ替えしてかけなきゃ成らん。しかも、こちらが思っている曲順にかけるのなんかそれじゃ基本無理(CDに焼いたものをかけるのすらNG。いまでもアナログテープへの録音で流すのはOKなんだろうか???)

結局店舗用有線あたりを契約して流すことになる。「音楽」を前提にする店舗を作るのはとても難しいことなんだよ。専属のDJ雇って、レコード店みたいなCD棚作って何万枚も生身のCDなりレコードを所持しないとできないことなんだ。

もちろんちゃんと1曲づつ契約する方法も無いわけじゃ無いけど、高額になるし管理は大変だし、そりゃ無理だ。


結局ね、今のJASRACの契約手法は音楽文化を衰退させる方法にしかならないんだ。個人的には昭和歌謡をかけ続ける喫茶店のマスターをやるのが夢だが、手元のレコードの枚数はたくさんあるけど、普段はそんなものを再生することはない。当然何万曲も入ってるiTunesを使いたい。でもそれを店舗でかけるのはNGなんだよ。そんな単純なものですらとても大変な思いをして契約して楽曲リストを作って申告しなきゃ成らない。そんな店とても維持できない。

だからどの店もおんなじ有線(包括契約)しか流れないんだ。その有線だって店舗用は月5000円は下らないからねぇ。最新曲が要らなければ2000円程度から始められる有線もあるみたいだけどね。自分の好みの曲ってのを捨て去って、とりあえず曲をってのならいいんだろうけどね。

JASRACはもう少し「音楽文化」として店舗で流す仕組みをもっと考えてほしい。金を払いたくないんじゃなく、管理が複雑な方法が敬遠されていることをわかっていただきたい。それが音楽文化の発展に寄与すると思うんだ。
誰もが一度はあるでしょ?店舗で聴いた曲がいい!と思って楽曲を購入したこと。

JASRACに金を払わない方法は簡単。曲をかけないか、テレビやラジオを流しておくこと。これにはJASRACは関係ない。でも、ラジオがかかってる喫茶店って・・・ちょっとだなぁ。




一応音楽の著作権って、金を1円でも取ってたらJASRACへの支払いが必要だからね。たとえば学校の演奏会で会館借りて100円取ったらもうJASRAC案件。それがいいか悪いかはともかく、本当に音楽を人前で掛けるということには敏感になんなきゃならない。それが日本の音楽文化なのです。

(コメント追記)
そうですね。多機能CDチェンジャーがあればできないことはないです。商品としては時代遅れだけど需要としてはあるのかもしれませんね。

1999年まではレコードを店舗でかけてもJASRAC管理料が発生しなかったんで、この案件って最近の話しなんですよね。この年を境に音楽が街角から消えた感じがするんです。広大な敷地の「敷地面積」で包括契約する必要があるスキー場でユーミンが流れなくなったりとかね。

複製権とか面倒な話があるのは仕方ないんだけど、原盤CDの所持が確認できればiTunes等で自分の好きな曲をシャッフルするくらいは認めてほしいと私は切に願っておりますが、少なくとも今のJASRACがそれを認めるとは思えないですね。
今のままの方が金が入ってきますし、管理を嫌えば有線に流れて、そちらは自分が取り立てなくても自動的に徴収できるのですからこれ以上楽なことは無いですからね。

結局は音楽が好きな人が尤も割を食う仕掛けなんです。曲なんて流れていればいいって店舗は自動的に有線に行くんですから。

追加で調査しましたが、JASRAC包括契約をした上でAppleMusicを店舗BGMとして利用できるっていうのを見つけたんだけど、本当なんだろか?(2019年7月追記:現在Applemusicの商業利用はできなくなっています)

これが許可されるなら登録曲に制限があっても曲順とかはある程度自由になりはするけど、実際どうなんだろう。AppleMusicって手元にダウンロード可能で、契約中は聞ける状態になる。それも含めて利用可能なの?って疑問はある。


まぁ、宝くじでもあたらんかぎり自分で商売してJASRACと契約することも無いんだろうから気にしてもしょうが無いんだけど、なんとなくね契約とか法律的には気になるんだよね。


音楽というのがただのデータになっている以上、その媒体がCDか電子データかでかわるわけもないのでして、複製権に関しての考え方というのをもう少し考え直さないとですね。

電子的に音楽家にちゃんと配分される仕掛けをちゃんと考えないと、音楽産業の育成にならないわけで、通信カラオケは既にその方式ができあがっているわけですから、JASRACが包括契約用のミュージックプレーヤのようなものを貸し出して、好きなだけ曲を使える仕掛け(もちろんCDやレコードを持たない分高くてもいい。有線並の年5万円程度なら喜んで使う方もいるだろう)を使ってもいい。それを電気的に収集すれば確実に使用した曲を配分できる。

これは音楽配信業者にも言えるんですよね。結局配信に参加しないアーティストやレコード会社があるというのは、儲からないから。ちゃんと権利者に配分する仕掛けが求められてるんだと思います。

あくまで金を払いたくないのではなく、ちゃんと利用者と権利者の仲立ちをしなさいよというのが本来のJASRACの仕事なのだから。

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